メッキの基礎

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メッキの基礎

「めっき」という言葉は、多くの方がご存じのことでしょう。それでは、そもそも「めっき」とは何なのでしょうか。弊社の社名にもある「電気めっき」について、基礎をご説明します。

メッキの語源

めっきが施された、東大寺の大仏

日本におけるめっきの発達は、奈良時代まで遡ることができます。当時は、奈良の大仏の表面に、水銀と金の合金を塗り、加熱して水銀を蒸発させていました。そうすると、金だけが薄く表面に残ります。

これが当時の金メッキの技術で「滅金(めっきん)」と呼んでおり、これが語源となり、「めっき(鍍金)」として現代まで引き継がれています。

入谷電鍍所は電気めっきを主力しています

めっきには大別して

の3種類を挙げることができます。このうち、弊社では湿式めっきによる、特に電気めっきを主力としております。

電気めっきの仕組み

電気めっきの基礎は、溶液の中に2種類の金属を浸し、それぞれに電極を取り付けます。めっきの材料となる金属を陽極(プラス)、めっきされる金属を陰極(マイナス)にし、電気を流しますと、下の図のようになります。

電気めっきの基礎

電気が流れますと、溶液に溶けているイオン化しためっきの材料がプラスの電荷を持ち、めっきされる金属に移動してくっつきます(これを「析出」と呼びます)。

イオン化しためっきの材料は、陰極で還元されて元の金属に戻り、めっきに成ります。

こうして、電気を流し続けると徐々にめっきが施されていくのが、この電気めっきの基本です。

日本初の入谷電鍍所の「回転式めっき」とは

先ほどの図のように、電気めっきは、めっきをしたい物を溶液中に「ぶら下げて」めっきをするのが基本でした。これを『ラックめっき』と呼び、現在でも使われている工法なのですが、以下のような欠点があります。

これらの問題を解決するために、弊社では日本で初めて『回転式めっき』の技術を、ドイツから輸入しました。

回転式めっきの基礎

回転式めっきとは、穴が空いた樽にめっきをしたい製品を入れ、溶液中に浸して回転させながらめっきを行う技術です。樽は英語でバレルと言うので、バレルめっきとも呼ばれています。

バレルめっきの基礎的構造は下の図をご覧ください。

回転式めっき(バレルめっき)の仕組み

この図はかなり簡略化されていますが、それでも、先述した電極を利用した電気めっきの基礎が生きていることが、見てとれると思います。

めっき対象の製品を、回転式のバレルに入れ、こちらを陰極(マイナス)に繋ぎ、電気を流します。バレルを回転させると、バレル内部の構造を通じて電気が流れ、それぞれの製品に電気めっきが施されていきます。

バレルめっきの利点は、ぶら下げが困難な製品──たとえば小さなネジや金具、棒状・筒状など──を一度に大量処理することが可能な点が挙げられます。めっきの厚さも比較的均一にしやすい点も見逃せません。

入谷電鍍所は、技術力の向上にいつも取り組んでいます

樽の中で製品が回転することから、バネなど絡みつきやすい形状のものは苦手ですが、そういった弱点を少しずつ解決するのも、弊社の技術の積み重ねです。

また、めっきをする前には製品を脱脂や酸処理を施すなど、めっきの前工程がとても重要です。例えば、指紋が少しでもついている製品は、めっきがキレイに出来上がりません。油はアルカリ性溶液で鹸化して取り除くのが基本ですが、金属によっては高いphアルカリ性の溶液では融けてしまいますので、ここもまた工夫が必要です。

こういった所にこそ、ノウハウの差が現れますので、弊社では様々な技術を取り入れ、日々、技術の研鑽を続けております。